2010年3月10日水曜日

非実在青少年についての東京都の条例に対する反論。

非実在青少年保護法が東京都で2、3日中に可決されようとしている。

都は改正案を都議会に2月24日に提出。
改正案は3月18日に都議会総務委で審議され、19日に同委で採決。
30日に本会議で採決が行われる予定。
本会議で可決されれば、10月1日から施行される。
(http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1003/09/news103.html)
法案の全文はこちらを参照。
http://www.scribd.com/doc/27498766/The-Prefectural-Ordinance-about-young-healthy-upbringing-a-reform-bill-2010-2-24

年齢設定に拘らず、18才未満に「見える」外見、声などのキャラクターを
対象に、個人の発表も含めて性描写を制限するそうだ。

一番の問題は、これが密室会議で案を出されており、
実際議員へ与えられる協議期間が3日、
都民に与えられる協議期間はたった1日しかないということ。

条項の中に、「東京都民はそれに協力しなくてはならない」というものが含まれるらしく、実際違反した場合の罰金などは不明だが、一斉に自主規制が始まることは明らかだと思われる。
この法案に対する危惧はいくつかある。
まず、今回のこの条例では「非実在青少年」の判断基準を

「年齢又は服装、所持品、学年、背景その他その人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から、十八歳未満として表現していると認識されるもの」(引用)
としているが、早く言えば対象キャラクターが「18才未満に見える」という、非常に曖昧な基準であること。また、外見だけでなく声などにも適応されること。

さらに、性描写が目的「ではない」が「含まれている」作品も検閲の対象になること。
性描写が含まれているという理由で、道徳主張のある作品や政治的な主張のある作品まで規制されてしまうということは、事実上の情報統制に等しい。
出版社のほとんどが東京にある以上、そうなった場合自主規制的にほぼ全ての作品がなくなってしまう。
また、東京都で可決された法案は一斉に全国適応されはじめるという例があり
いつの間にか全国法案になっているという可能性は大きい。

ここで表現の自由の話や芸術性の話を始めても、出版、教育、創作、サブカルチャーに遠い人々から賛同を得ることは難しいだろう。
ゆえに、私は非実在青少年保護法が条例として可決した場合の経済効果の話をしたい。

今回の状案では、「経済効果を伴わない個人の発表物」もその対象となる。
web上で発表されるのみであっても、規制がかかるのだ。
同人誌などはまずほとんど検閲されるだろう。
また、都民はこれらを「根絶に関する施策に強力するように努めるものとする」という表記があり、そういった作品の所持や閲覧についても規制がかかる。

オタク市場、というものが現在経済用語で存在するそうだ。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0510/06/news068.html

これによると、マンガ、アニメ、ゲームに限ってだけみても、
コミックスで年間830億円、
アニメーションで200億円、
ゲームで210億円、合計で1240億円の市場規模となる。
その殆どが検閲対象になる以上、これらの経済効果がどれだけ減少するか。

コミケの経済効果については公式発表がないので、
算出しているサイトによって数字には変動があるが、

「まず、C76の入場者数ですが、3日間合計で56万人だそうです。
http://mainichi.jp/enta/mantan/news/20090816mog00m200015000c.html
1日目18万人、2日目18万人、3日目20万人で過去最高記録を更新しました。
http://10den.sakura.ne.jp/repo/comike/c76/0816b.html
んで、この56万人が1日あたりどのくらいの消費を行っているかのデータですが、
正直適当なデータが無いのですが、これ
http://find.2ch.net/enq/result.php/37295/
を見る限りでは、1-2万円という回答が比較的多いですね。
仮に平均を1万円としても、56万人の入場者数ですから、3日間で56億円の売り上げがあることになります。
1日あたり18.66億円ですか。」

(http://blogs.yahoo.co.jp/jbdbn646/29219069.htmlより引用)

というような算出をしているところもある。

さらにここでは言及されていないが、
同会場で行われる東京アニメフェア(来場者およそ10万人)
なども含め、一日に十数万人分の交通費、
さらに食費、宿泊費なども含めると、一体幾らの金額が動いているのか、
それらも確実に減少するだろう。

さらに、市場が縮小した場合の出版社の規模縮小/倒産や、
そこに従事する人々、制作者の失業など、
本法案が日本経済に与えるマイナスの効果は計り知れない。

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